『灯台もと暮らし 』西伊豆ガラス工房FARO徒然日記

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今朝は、妊娠36週の誕生死であった赤ちゃんのお位牌の仕上げから。

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底部を平らに磨き、命日、戒名、俗名を彫刻した。

今週末、一周忌だそう。

ずっと先延ばしにしていたけど、私のお位牌のサイトを見て、(このお位牌なら!)とご依頼下さった。

私のお位牌で、悲しむパパやママのこれからを、そっと後押しができればいいなといつも思ってる。

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日曜日は、お位牌の相談に若いご夫婦がお越しくださいました。
6年生のお兄ちゃんと、まだ2つくらいの女の子も一緒に。

命日を書いていただいたら、たった1週間前でした。

前の検診では『元気だね!』と言われたのに、次の検診では
もう心音が聞けなかったそうです。
その数日後に促進剤を打って出産。

『本当にすぐに生れてきて、親孝行です。』

だからママは、産後1週間でこうして茨城から西伊豆まで来られたのです。

当初はお電話やファックスでやり取りするつもりでしたが、
直接話した方が早いだろうと、ご主人が車で連れて来てくださいました。

パパが絵心のある方で、ちゃんと着色したデザイン画をお持ちくださいました。

けれどデザイン画って、しっかり描かれていても、案外制作上知りたい
情報が描かれていないことがあります。

ラインの太さや、ねじれ方、色の入り方や幅、濃さ、卵の形、、、

すり合わせすることが実はたくさんあるのですが、通常は
細かいところはほとんど私に一任されます。

必然的に、私にもお客様にも完成図がもやもやしたまま
取りかかり、途中お客様が描かれなかったご希望のニュアンスを、
探りながら、完成しても不安で、納得できるまで何個も作ったり、、、

結局、最初のもので良かったりして、、、

せっかく、遠くから起こしいただいたのですから、お時間が許すのなら
今から制作に立会ってみませんか?

と、御提案したら、喜んでくださいました。

お客様に直接問いながら制作するのは、(こんな感じでいいのかな?)という
不安感が全くなく、一緒に作り上げているという充足感が
お互いにあったと思います。

ねじりはこのくらいでどうですか?

もう少し、、、

じゃあ、このくらい?

など、逐一伺うことができました。

色ガラスも、実は制作中は高温で色が全く違って見えます。
色によっても特徴が違います。
長年の経験から、こうなるんじゃないかと完成形を想像して
色を配分したり、濃さを微妙に変えたりして作ります。

完成形を見るだけでは全く伝わらない、細かななことで苦労して
いる姿を、お客様に理解していただける機会となりました。




だんだんとお位牌が出来上がっていくのを、ご家族みなさんが
興味深くわくわくしながら見守ってくださいました。

まるで、お位牌の誕生に立ち会っている、、、
そんな感じでしょうか?

お客様がいらっしゃってから、2時間以上かかっていました。
時間はかかったけれど、お互いに納得しながら作り上げた
連帯感のような余韻を残して、ご家族は帰って行かれました。



元気に産声を上げることができなかった、男の子のお位牌です。




ご家族皆さんで工房までお越しになり、色を選び、
話し合って決めた天使ちゃんの卵です。


後日、戒名と共に、ママの切ない思いや、スクラップ
ブッキングのカラーコピーなどをたくさん送ってくださいました。

既にお兄ちゃんお姉ちゃんが3人いるご家庭で、
家族みんなで産まれてくるのを楽しみにしていた
末っ子だったそうです。


ママは、お位牌の下に、ご自身で描かれたクマの絵を
入れてほしいと原稿を送ってくださいました。




クマちゃんは、赤ちゃんにとってもゆかりのあるものだった
そうです。

クローバーは、それぞれ残された家族を意味しているそうです。




裏側には、誕生日であり、命日でもある日付と時間。


完成して、お送りした後、メールを頂きました。


お位牌を持った瞬間、赤ちゃんを抱いた時を
思い出し、温かな気持ちになったそうです。


今月の月命日は、今日10月4日。

この日を、『天使の日』という語呂合わせで、
イベントを企画された天使ママがいらっしゃるそうで、
同じように天使パパ、ママになった方々がメッセージを
託して、バルーンリリースをするそうで、今回お客様も
依頼されたそうです。

同じ時刻に、お寺でお位牌に魂入れをすると
書かれていました。


素晴らしい秋空の下、いくつかのバルーンが空高く
昇っている様子を、空を見上げて想いました。

先月のある日、電話が鳴りました。

赤ちゃんのお位牌のことについて相談したいから、今から伺いたいというパパとママでした。


数時間後、お二人は現れ、思いがけず“3つ必要だ”と、さらりとおっしゃいました。

今まで双子ちゃんのお位牌はありましたが、3人分作ることはなかったので、まだ若いお二人を見て、とても切なくなりました。


赤ちゃん達は、みな“日”という漢字を使ったお名前ということで、私の“夕だるま”を気に入って、まずひとつは似たような感じで作って欲しいとおっしゃいました。


他のお位牌のデザインをいろいろお話しているうちに、


それならばご自身で作っていただいたらどうだろうか?


という考えが、私の中で膨らんできました。


ちょうど、デザインどおり制作した猫ちゃんのお位牌が、


『私の思っていたものとは、全然違う!』


と言われ、ひどい言葉をいただきながら返品されて、私は本当に傷ついたところでした。



ご依頼者の思いが、深ければ深いほど、たとえ綺麗な形にならなくても、ご自身の手から自然と何かが発せられて、望むものが現れるのではないかな?と思い始めていました。


ご自身で作ってみますか?

と尋ねると、いいんですか?と、パパは嬉しそうに笑いました。



赤ちゃんの名前からイメージを膨らませて、太陽、海、向日葵の3つのお位牌ができていきます。


ひとつ作っては、次はどんな色のどんな形にしようか?

と、3人で相談して進めました。


私がいつもそうしているように、


『赤ちゃんが降りてくるように、名前呼んでみて!』

と、パパに呼び掛けると、


『ひなた〜』


と、パパは名前を呼びながら、ガラスを撫でて成形していきました。



その一部始終を、ママがビデオで撮影していました。




もちろんこの日初めてガラスに触れた素人の方ですから、思い通りにならなかったり、いびつだったりしましたが、パパもママも、本当に満足そうにお帰りになりました。


私も、自分が作るよりも2倍も3倍も時間と労力がかかって大変でしたが、


(これが本来あるべき制作工程かもしれななぁ)


と感じ、心は充足感でいっぱいでした。



後日、お位牌に名前を彫刻しに、再びお二人はお越しになりました。




ガラスの塊を使って、練習をいっぱい彫ってもらいました。


パパは、かなり手こずっていましたが、1時間以上かけて、3つそれぞれにお名前と命日を彫りあげました。

短期間のうちに、次々と天使ちゃんになった、お二人の赤ちゃん、、、

その赤ちゃん達を見送った、パパとママの悲しみに思いを巡らせながら、彫刻の様子を見守りました。


嬉しそうに、そして大事そうに、仕上がったお位牌を胸にお二人は車に乗り込みました。



お二人が、いつか冷たく硬いガラスではなく、暖かく柔らかい赤ちゃんがその手に抱ける日が来ますようにと、祈りながら見送りました。

昨年承った、お位牌や仏具のご紹介です。

詳しくはそれぞれのリンクをクリックしてくださると、
HPからご覧いただけます。




http://www.f-faro.com/IHAI36.html

縦7センチ程度のお位牌。

瑛斗(あきと)君は、18トリソミーという染色体の病気で
生まれて2日目に亡くなったそうです。
この病気は生まれてくることさえも難しい病気だった
はずなのに、頑張って生まれてきてくれたそうです。


 

http://www.f-faro.com/IHAI37.html


縦10センチ程度のお位牌。

もっとお腹の赤ちゃんのことを考えて行動すれば
良かったと、ママは悲しんでいました。




http://www.f-faro.com/IHAI39.html

縦10センチ程度のお位牌と香炉。
ご夫婦で、工房までお越しくださいました。

この時のエピソードは、既にブログでご紹介しています。

http://fglass.i-ra.jp/e217748.html




http://www.f-faro.com/IHAI41.html

息子の卒園式の当日、あわただしい朝の支度の中、
同じ町の顔見知りの方が訪ねてきました。

『息子の赤ちゃんのお位牌を作ってもらえないだろうか?』

卒園式に遅刻する時間でしたが、しばらくお話を
伺って、後日東京から、赤ちゃんのパパとママが
やってきました。

そんな中で出来上がったお位牌です。



雪が降る日のことだったので、雪の結晶の画像を
ママが探してきて下さったものを彫刻しました。




http://www.f-faro.com/IHAI40.html

縦10センチ程度のお位牌。
1歳5カ月の男の子。

三人兄弟の末っ子で、甘えん坊。
いつもママに、だっこをせがんでいたそうです。

その両手を広げておねだりする姿が、
こちらの御位牌の羽根を見て、思い出され、
羽根を手のひらに見えるようにとご依頼されました。




http://www.f-faro.com/IHAI42.html

ハートの仏具セット。

パパとママで、工房までお越しになり、
仏具のセットをご依頼くださいました。




http://www.f-faro.com/IHAI43.html

高さ10センチほどの御位牌

ママが辛いお気持ちを、メールでお知らせくださいました。

天国へ旅立ったのは、4月でしたが、予定日は7月だったそうで、
お名前を「すいか」と決めていたそうです。

そのお名前に合うように、色を指定されました。




下のほうにスイカのモチーフを彫刻できないかと
お問い合わせがあったので、ご希望のデザインを
送っていただき、それを下に彫りこみました。




http://www.f-faro.com/IHAI45.html

高さ7センチほどの、蝶の女紋を彫刻した、丸い御位牌

関西圏では、女性は女紋を持つ地域があるそうです。
今回、ご依頼を受けて初めて知りました。
本当にきれいな女紋がいっぱいあるんですね。
そんな中でも、このアゲハの女紋は、一際美しいです。




ゆゆめちゃんのママは、天使ちゃんになった
彼女にもその女紋を授けようと思ったのです。

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