『灯台もと暮らし 』西伊豆ガラス工房FARO徒然日記

タグ:手づくり

現在開催中の、沼津アズギャラリーさんで
私が在廊する時だけ、アクセサリー制作体験
行っています。


14日の日にギャラリーへ着いた途端、
親子のお客様がお越しになりました。

後で、FAROのお客様がお声をかけてくださったとしりました。

お母様は、『ダイヤ柄キャンドルホルダー』をお求め下さり、
贈り物に、『あかりぶくろ』を選んでいらっしゃいました。

サービスで、何か彫刻することもできますけど、、、
ご提案したら、ではお願いしますとおっしゃるので、
紙に書いていただきました。




このメッセージは、どなた宛かな、、、と思いながら
その場で、彫りました。

実は、一緒にいらっしゃっていた娘さんへの
贈りものでした。


お買い物が済んだら、アクセサリー体験を
したいとおっしゃり、娘さんはたくさんの
エコグラスナゲットの中から、目をキラキラさせて
お気に入りのナゲットをえらんでいらっしゃいました。



リングと、ペンダントができて、うれしそうに
お帰りになる姿を見送るのはとても嬉しかったです。



そのお二人に少し遅れて、すらりとした女性が
入ってきました。

『わかりませんよね、、、きりんです!』


ああ、きりんさん!!
吾亦紅さんから時々伺っていました。
初めまして~~


きりんさんも、アクセサリーを作って、お友達に
差し上げたい、、、、と、楽しそうに選んでいらっしゃいました。




ガラスを選んだら、革ひもの色も選んでいただきました。

そのあと、上でコーヒーを飲んでいただいていたら、
DENさんがお越し下さり、お二人でしばしお話が
弾んでいらっしゃいましたよ。

弓道のお仲間も2人、思いがけずお越しくださって、
嬉しかったです。

もうお客様もいらっしゃらないかな、、、と思う頃、
megさんが入ってきました。

megさんは、お友達へのプレゼントを選んでいました。

ハートのガラスに、メッセージを彫った、

『石文』

シリーズに興味津津でした。

megさんが選んだのは




『だいじょうぶ』

というハート。

その思いが届きますようにと、megさんの
あだ名を彫ることになりました。

図らずも、すべてのお客様がプレゼントとして
私たちのガラスをお求め下さり、
とっても嬉しい1日でした。

明日16日の午後からも、アクセサリー体験を
実施いたします。

18時くらいまで会場におります。

お時間のある方は、ぜひお出かけください。
制作時間は30分ほどです。

  
今回、うずグラス仕様を変更しました。

うずシリーズは、私が能登島で働き始めた頃から
制作していますので、かれこれ20年近くなります。

今まで作っていたうずグラスと、何が違うのか?
口元の開き具合と、厚みです。


吹きガラスを習い始めた人は、大概薄く吹けません。
薄く、均一に吹くには、訓練が必要なのです。

毎日毎日、ガラスに触れて、ガラスの次の動きや、
温度を判断し、的確なタイミングで吹いたり、成形
できる経験値が必要です。


だから、習いたての頃は誰もが

「もっと薄いガラスを吹けるようになりたい!」

と、必死に努力します。


私も同じように「もっと薄く!」と、がんばりました。
1年も仕事をすれば、吹けるようになりました。

更に薄く!と、どんどん薄くなって行きました。

薄く吹ければ、格好いいとさえ
思っていたと思います。
だけど、、、


自分の生活の中で使うと、薄い器は割れる割れる、、、

それから、取っ手の付いたマグやジョッキも、
取っ手からすぐにヒビが入ります。

羽根や、耳が付いた器も、、、


そうなんです。

薄すぎる器や、必要のない飾りがついたものは、
毎日の生活には適合しにくい
のです。

だけど自分の中に、やはり薄く軽く、人が作らないような
変わったものを作らないと、、、というこだわりがあったのだと、
ガラスに携わって22年経った、今の私にはわかります。


FAROのポリシーは、


『どこにもないデザインで、ちゃんと使えるものを作る』

です。


だけど、改めて考えるに、私が作ればただのコップでも、

”どこにもない、私のコップ”

なんですよね?


口元も、使う側に立って程よい厚みにして、
開きすぎていた口径も狭めました。

試しに、自宅で使っていますが、ずっと割れないで、
毎日の食卓に上っています。


一番びっくりしたのは、

「お前のグラスは広がりすぎて
飲み干すときに、口の端から飲み物がこぼれる!」


と絶対使ってくれなかった主人が、
晩酌に使ってくれたこと!!




もうひとつ、今まで淡いキャンディーカラーで展開して
いた色に、コバルト色を加えたこと。


当初うずグラスは、このコバルト色だけでした。

時はバブルの終焉を迎えたころ。
まだまだ景気は良い方でした。

このコバルト色のうずシリーズはよく売れたのです。

もともと、コバルト色が工房で常時使えて、便利
だったので使ったのですが、この色は日本人が
一番ガラスの中で好むのだ
と、理解しました。


だから、独立した時に封印したのです。

そんな小細工を使わないで、
自分の腕だけで
真っ向勝負してやる!
って、、、


若かったな~って思います。(笑)

だって、売れたということは、必要とする方が
いらっしゃった
ということ。

なのに、自分のこだわりの為に、欲しがっている
方へ欲しいものを作らなかった。


私は芸術家でも、ガラス作家でもなくて、
ただのガラス屋なんです。

だからグラスではなくて、”コップ”でいいんです。

使う人にとっては、そんなことどうでもいいことです。

毎日の生活がちょっとウキウキして、
使い勝手の良いガラスがあれば、、、



虚栄心や執着心や思いこみに惑わされず、
素直に飾らないありのままの自分の分身として
ガラスを作って行きたいと、今とても思っています。

お母さんと、一緒に吹きガラス体験に来た
6歳の男の子

礼儀正しく、賢そうな彼はちょっと緊張しながら、
一生懸命グラスを作っていました。




帰りぎわ、お母さんとの会話で、彼は

父の日にプレゼントするためにグラスを作っていた

のだと知りました。



彼のいじらしさにぐっと来て、

グラスの底にメッセージを彫ってあげるよ。と言ったら、


また一生懸命言葉を考えていました。

『おとうさん、いつもありがとう、、、って書いてください。』

と言いました。



あ、お母さんも、ご主人へのプレゼントですか?

『いえ!
これは私が使います、、、』


あ、これは失礼。(笑)





メッセージと、彼の名前と年号を彫って送りました。

お父さんの喜ぶ顔が目に浮かびます。(^-^)

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