『灯台もと暮らし 』西伊豆ガラス工房FARO徒然日記

タグ:天使ちゃんの卵

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赤ちゃんのお誕生祝にガラスの手形を納品した翌日。
生まれて1ヶ月で亡くなってしまった赤ちゃんのお位牌を作っていました。

休業中に、パパママ、小さなお姉ちゃんとご相談に見えました。

ママは小さなバスケットに入った熊のぬいぐるみを大事そうに抱えていました。 「娘と同じ身長と体重で作ってあるんです」

小さく生まれたけど元気だったのに、突然内臓の機能が悪くなり、あっと言う間に逝ってしまったと。

保育器でのお写真。
亡くなった時のお写真も見せて下さいました。
退院の時に着せようと準備してあった可愛いドレスが、天使ちゃんたちにとっては最後の晴れ着になってしまいます。

1個目のお位牌は、制作中には見えない金属性の汚れが紛れていてボツに。

昨日、もう一度挑戦。

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私が作るお位牌は、ご家族の想いを映すもの。
純粋に美しくなくてはいけないと思っています。

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生後5ヶ月で天国へ旅立った女の子のお位牌。


 「子供が亡くなって、、、
お位牌をお願いしたいのですが、、、」

 電話口で、パパの声が詰まるのが辛かった。

丸いブルーをご希望だったけど、休業中で作れないので、あらかじめ色々なデザインで用意してあるものの中から選んで頂いた。


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正面に戒名と命日。
底に実名を彫刻。

形が違ったけど、とても気に入ってくださった。

今週末が四十九日の法要だと。
パパとママのところにまた帰って来てくれることを祈って。

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先日、大阪から御夫婦がお越しになりました。

1月に亡くなった赤ちゃんのお位牌を、直接引取りに見えたのです。

重度の障害を持って生まれ、生後1ヶ月という短い生涯を終えた息子さん。

高さ7センチで、透明の卵に白い羽根を、、、

というご希望でした。

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渋滞で遅れてみえたので、すでに仕事かかっていて、ゆっくりお話することもできず、用意しておいた箱の中から取り出して見ていただきました。

恐る恐る手に取ったママは、にっこり微笑んで

『可愛い、、、 』

と、何度も言ったのでした。


実は、お二人は昨年もFAROへお越しになっています。

お兄ちゃんがいたのです。

やはり重い障害のせいで、1歳で亡くなってしまったのです。

その時、FAROのお位牌のページを見てお電話くださったのです。

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文字を彫る前の画像です。


子どもを虐待したり、殺したり、、、というニュースが、毎日のように流れています。
そんなひどい親が子どもを持てるのに、どうして心から子どもを欲しいと願う2人に、こんなにも辛い別れが繰り返されるのでしょう?

その不条理に憤慨することぐらいしか、私にはできません。

ただ、パパとママの希望通りのデザインで、可能な限り美しく可愛く形作ることだけです。


1センチ背の高いお兄ちゃんと、小さい弟の天使の卵。

今頃、パパとママと一緒の部屋で微笑んでいることでしょう。


今日は、3歳で亡くなったお子さんのお位牌を依頼に、
神奈川からお客様がお越しくださいました。


事前に、卵の上に3つの光を意味する黄色を入れた、
青いものをご希望でした。

試しに、どんな風になるか制作してみましたが、
3度やり直しても納得いく出来にはならず、
お客様に画像を送って見ていただきました。


写真ではやりあまり分からないということで、
今日直接お越しになりました。

わざわざお菓子まで頂きました。




実物をご覧になって、やはり思っていたものとは違ったようで、
1時間ほど相談して、結局全く別のものになりました。


私が事前に作っておいたお位牌は、結局無駄に
なったわけですが、私はこの試作に対しての
請求はいつもしません。

全く失敗のないこともありますが、大概2個以上、
ひどい時は5個以上トライしてはボツになります。

かかった手間と、原材料や燃料費を考えれば、
かなりの損失です。

けれど、私の経験値の幅がまた広がったと考えるようにしています。


お客様の心の中にあってモヤモヤした形を、
可能な限りガラスにして差し上げたいと、
納得するまで本当に必死に制作しています。


だからこそ、お客様にも同じように覚悟を持って
ご依頼して欲しいと考えています。


『オーダーしてるんだから、デザイン画通り作ってよ!』


『私が考えていたのと違うじゃない!』


と言われたこともありました。


正直、吹きガラス技法では、デザイン画通りにできることの
方が稀です。

それでも良いから、あなたに頼みたいというお気持ちが
ある方だけのお仕事をしたいと、最近特に思います。


実際のところ、どんな風に出来上がるか分からない、、、

それでも、出来上がったものは、私が誠意を持って
作ったものだから、受け取ってくださる方にだけ、、、


私にとって、お位牌の仕事は本当に苦しみの連続です。

体調を崩すことも、時々あります。

私がこだわり過ぎるのが原因ですが、主人には、


『なんで、坊さんでもなんでもないお前が
そんな思いをして作らなくてはならないんだ?

そもそも、そんな思いを込めたら、いけない
ものなんじゃないか?』


と、注意されます。

私もそう思います。

けれども、悲しみの底にある方は、やはり
同じような思いを私にも求め、お位牌の中に
こめてほしいと願っているように思います。

その想いに寄り添って、形にしてくれるのは
ここしかない!

と、思って、皆さんご依頼になるのだと思っています。

でなければ、その辺の機械的に名前を入れるだけの
もので構わないと思いますし、私にとってもその方が
どれだけ良いかと思うこともあります。


私の本気の想いと、ご依頼者様の覚悟、、、

その気持ちがピタッと合った時だけ、デザイン画通りの、
ご依頼者の目から涙が溢れるお位牌になると知っています。


そうならなかったときは、どちらかに覚悟が
足らなかったのだということだと思います。


今日のお客様にも、お伝えいたしました。
納得してくださいました。

『こちらと出会わなければ、黒塗りのお位牌になるところでした。


できあがってきたものが、我が子のお位牌だと
思っていますから、ぜひお願いします。』


そうおっしゃって、遺影を見せてくださいました。

可愛い笑顔を見て、2人で泣きました。


私も真摯にその想いと向き合います。

突然命の炎を摘み取られた、3歳の可愛い坊やの為に、、、

今年のお正月に、今からお位牌の相談をしたいと、
連絡があり、結局いらっしゃったのが、夜遅くだった
お客様との出来事を記事にしました。


http://fglass.i-ra.jp/e406856.html

その後、火が入ってから、お位牌を制作し、
お届けしました。




先日、このお客様からメールが届きました。

あれからすぐにまた妊娠がわかったけど、
再び天国へ帰ってしまった、、、

だから、このお位牌に、新たな命日を入れてほしい。


という内容でした。


実は私は密かに、自分が作ったお位牌を受け取ったママは
きっと再び赤ちゃんを授かって、幸せにお過ごしだと
思い込んでいました。

だけど、そんな夢のようなことは誰にでも起こるわけではなく、
こうして悲しみが再びやってくるご家族もあるのだと知り、
とっても悲しく思いました。




私もパパもママも、まさかこんな日が来ると思わず、
両側に命日を分けて入れてしまったので、
次の赤ちゃんの命日が入れにくくなってしまいました。

ご相談して、左側に入れることになりました。


18日に法要だそうです。


ママを始め、皆さんが少しづつ前に進んで行って
くれるといいなあと、心から思います。

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