『灯台もと暮らし 』西伊豆ガラス工房FARO徒然日記

タグ:ガラスの仏具

長い長いお休みをいただいております。

遊んでいるわけではないのですが、はたから見ると、
遊んでいるように見えるでしょうね!(笑)

まもなく火を着けると思うのですが、如何せん、主人の
裁量に任されているので、私がとやかく言って
ヘソ曲げられたら一大事なので、それとなく
お仕事溜まってるよと、伝えている毎日です。

随分と、ステンドグラスに浸っており、

このままステンドグラスでやって行こうかな、、、

と、血迷うこともしばしば。

いや、実際、私にはステンドグラスの才能が皆無ですから、
土台無理な妄想ですが、ランニングコストが一切かからない
技法を、心底羨ましく思うのです。


さてさて、遊んでいるわけではないのなら何してるんだ?と
問われれば
この現状を打破して、新たに開発した商品で
攻めてく
ことを、日夜考えているところです。

また妄想かい!o(`ω´ )o

と、叱られそうですが、企業診断士の先生とお話して、
ボンヤリとしていたものが、ハッキリ見えてきました。

ペットのお位牌、仏具を、もうちょっと頑張っていくと。

それで、新たな商品を毎日考えていまして、いろんな
アイデアが浮かぶわけですが、さっきお風呂に入っていて
降りてきたものはこれ。↓




お位牌や仏具は、すでに何度か作っていますが、
それらを置くを作ろうかと、、、

FAROのお位牌をご依頼くださった方の半分くらいは
お仏壇でなく、チェストの上などに、祭壇のような
コーナーを設けて飾っていらっしゃるようです。

ガラスの台に乗せたら、ひときわ凛として見えるなあと。
それに、ガラスの上にガラスなら、お位牌が倒れないように、
粘着剤などで着けても、取る時綺麗に剥がれます。

そしたら、台をステンドグラスの薄い綺麗な箱にして、
そこに、生前ワンちゃんや猫ちゃん達が使っていた首輪や
毛布、遺髪など、しまっておけるようにしたらどうかしら?

なんて、考えていました。
天板には、遺してあれば本人の足跡とか彫刻したりして?

みなさん、どう思われますか?

主人は、亡くなったカンジの首輪を取ってあって、
匂いをかいでいたりしました。

http://faro.i-ra.jp/e416755.html

そんな風に、懐かしいものを収める宝箱です。

9日の日、予約されていたお客様がお越しになりました。

ナビでいらっしゃるとおっしゃっていたのですが、当日電話で、
ナビが古くて良くわからない、、、と尋ねられていました。
縦貫道が出来たので、速くなったけど、道がわからないでしょう。

到着したお二人は、何だかへとへとのご様子。

私より少し年上くらいのお母さんと、20代の娘さん。
でも娘さんは、何だか険しいお顔で入ってこられました。

体験の見本をお見せして、何を作るか決めていただくときに、
もっと小さいものが吹けますか?と、お母さんが尋ねられました。

『あの、、、
以前、娘のお位牌を作っていただいたものです。
今日はお仏壇に供える、お水を入れる器を作りたくて、、、』

申込書のお名前を見て、すぐに思いだしました。

ああ!ピンクのお花の!


4月。
メールで問い合わせがありました。

21歳の娘さんが、朝ベッドで突然亡くなっていたと、、、
その日は結婚式の前の日だったのに。
解剖してもらっても、死因は分からず、突然死ということ。


とにかく、可愛くて、純粋な子だったから、そんなイメージで
お花をあしらって欲しい。
そして、彼女の好きだったマークも入れてほしいということでした。

デザイン350_1


いただいたイメージには、本当に可愛い娘さんのプリクラが
貼ってあって、結婚式を控え、最高に幸せだったはずの
彼女を連れて行くなんて、神様は何て無慈悲なんだろうと思ったのでした。


お母さんの気持ちに応えるべく、試行錯誤してお届けしました。

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ガラスの形状から、少々伸びたように見えますが、下の方には
ピンクと白のお花を入れました。

DSC_0621350



背面には、ご希望通り、誕生日から命日までを彫りました。


『その節は、綺麗なお位牌を本当にありがとうございました。
実は今日、娘の誕生日なんです。
それで、あの子が食べてみたい!って言っていた、”さわやか”のハンバーグを、
あの子の姉と一緒に食べようと探したら、一番近いのが富士で、、、

そのうちに、FAROさんを思い出して、よってみようかと、静岡の友達に
聞いたら、「富士から西伊豆は遠くない」って言うもんですから
体験の予約をして。

それで宿を御殿場に取ったのですが、まさかこんなに遠いなんて、、、』

「え!?これから御殿場にとんぼ返りですか???
それはそれは大変でした。だから、あんなに疲れた様子だったんですね!!」


ずっと千葉から運転してきた娘さんが、不機嫌だったのも納得です。

お母様は、亡くなった娘さんの為に。
お姉さんは、ほぼ同じころ亡くなったペットの為に、、、

それぞれ小さなグラスを吹いて行かれました。

NEC_0541



せっかくなので、裏側に日付とメッセージを彫って差し上げることにしました。
お母様は、『Happy Birthday』と、彫ってほしいとおっしゃいました。

お二人で汗を拭きながら、初めとは別人のような笑顔で、『楽しかった』と
また御殿場まで御帰りになりました。

げんこつハンバーグは、おいしかったかな??



私が作るお位牌の仕事を手伝いながらも、

「お悔やみの仕事ではなく、お祝いの仕事をしたい、、、」

といつもこぼしている主人の気持ちにも、ちょっと変化があったのでは
ないかな~って、私は思っています。




昨日の毒吐き記事、、、

たくさんの方に、ご心配おかけしてしまったようで、申し訳ありません。
ヘタレな私を励ましてくださって、本当にありがとうございます。

あまりうまく伝わらなかったようで、驚かしてしまいましたが、
すでに3年も前の話で、その時は数か月落ち込んでいましたが、いつか

『こんな展開もあり得ますから、私に依頼される場合は
覚悟してください』


という記事を書かなくては、、、と思いながら3年経ってしまいました。

あの時すぐに毒吐いたら、とんでもない記事になっていたと思います。
今だから、冷静になって書けたかなと思っています。
あれ?まだ冷静になってなかったかな???

傷ついたけど、その分得たこともあって、良い勉強になったと思います。

そんな私には、その後もやはりお位牌の依頼が舞い込み、、、
必死に作っている間に、ブログに載せるのを3年も忘れていました。

ということで、3年分のお位牌を、少しずつご紹介いたします。
詳しいことは、それぞれのページにてご覧ください。



美月ちゃんのお位牌は、一生忘れません。
ママに守られて、天国で笑っていると思います。

残されたパパのこと、時々思い出して、どうされているかと思います。

http://www.f-faro.com/IHAI55.html




南結ちゃんのお位牌は、プルメリアのお花に囲まれています。

http://www.f-faro.com/IHAI56.html




白い羽根だけのお位牌は、凛として穏やかだなあと感じました。

http://www.f-faro.com/IHAI57.html




4歳になったばかりのお嬢さんのお位牌。
ハートを彫って欲しいとママが依頼されました。

http://www.f-faro.com/IHAI62.html




「私の赤ちゃんは、お腹の中でへその緒が足に絡まって
生れてこれなかったから、足のあるお位牌は抵抗がありました、、、」

と、ママは教えてくださいました。

http://www.f-faro.com/IHAI60.html




なかなか西伊豆へたどり着けず、真冬の夜遅くにやってきたご家族と、
ストーブに当たりながら考えた赤ちゃんのお位牌です。

すぐに2人目を妊娠できたのに、またお空に帰ってしまったと
再び名前を彫りました。

思いがけず、この1月に、とっても嬉しいメールをいただきました。

http://www.f-faro.com/IHAI58.html




猫の一件のすぐ後で、私はうまくお客様と交流できずに
制作にかかったお位牌でした。

そのせいか、なかなかうまく作ることができず、苦しんだお位牌でしたが、
完成後、たくさんのお礼の品をいただき、恐縮した思い出の残るお位牌です。

http://www.f-faro.com/IHAI61.html




突然天国へ旅立ったご主人のお位牌と、ご自身のお位牌、
2つをつがいで作ってほしいと奥様から依頼されました。

http://www.f-faro.com/IHAI59.html


続く、、、



9月の浜名湖アートクラフトフェアでのわたしのブースで、
サザエグラスに見入る方がいらっしゃいました。

何度も触っては、離れてみたり、奥様と話し合っていらっしゃいました。

そのうちに、他の作品に挿してあったお香を持ってきて、
グラスに入れ、そのお香を取り出す仕種を繰り返していらっしゃいました。


一体、何に使うんだろう、、、

怪訝そうな私に、

『お線香を入れるのに、ちょうどいいなあと思いまして、、、(^-^)』

と、おっしゃいました。

過去に、お花を入れる、、、という方にはお会いしましたが、
お線香を入れるという方は初めてで、驚きました。

『いやー、角度が、ちょうど良いなって、、、』

なるほど、、、

側では小学生の可愛らしいお嬢さんが、小さなワンちゃんとずっと待っていました。

奥様が、

『貝が好きだったから、、、ね?』

と、小さくおっしゃいました。

どなたの仏具なんだろう?
貝が好きだなんて、大人ではないだろうなあ、、、

と、何となく感じました。

気づくとワンちゃんが私の足元にやってきて、ものすごくリラックスしたように
足をうんと伸ばして、ぺったり座り込みました。

お二人は、サザエグラスをお求めくださいました。

仏具やお位牌も制作しますよとお話ししたら、『本当に?』と
すぐにでも、西伊豆へ相談に行きたい!と、おっしゃるので、
子ども達の運動会が済んだら、いつでもどうぞ。とお伝えしました。

早速次の次の日曜日、吹きガラス体験も兼ねて、FAROへお越しくださいました。

楽しそうにガラスを吹かれ、

『こんなに大変な手間をかけて、ひとつずつ作っているんですか?』

とご主人は、とてもびっくりされていました。


香炉と、燭台を作ることになり、山のような没作品の中から、
色やデザインを話し合って決めました。

燭台の没作品を眺めていたご主人が、

『ほら、これ、中に貝殻が入っているみたいだよ!』

と、奥様に見せていらっしゃいました。

思い切って、どなたの仏具か尋ねてみました。
六歳の息子さんを、脳の病気で亡くされたばかりだと話してくださいました。
あぁ、だからお姉ちゃんの目の奥にも、暗いものが見えたんだと理解しました。

『香炉に、ビー玉を付けることはできませんか?』

と、奥様がおっしゃいました。

ビー玉で、いつもお父さんと遊んでいたそうです。

ビー玉を付けるのは、難しいけど、ビー玉のような足をつけることは
できますよ。と御提案して、デザインは決まりました。

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難しいと思ってトライした香炉は、意外にすんなりできました。


一方、簡単に考えていた燭台が、かなり難しく、苦労しました。

初めてのデザインで、カップの部分のつけかたがいつもと違い、
綺麗に仕上がらないし、外側の模様をねじるデザインで、
内部までも変にねじれてしまい、ご主人がつぶやいていた

『貝みたい』

というには程遠くなったり、、、

DSCN1915

結局、3回失敗して、4回目にやっと納得いくものになりました。
DSCN1913


こうして、完成作品をご家族の元へ送りました。

奥様から、後日メールが届きました。

想像していたとおりにできていて嬉しかったこと、
息子さんが亡くなってから、久しぶりに出かけた先のフェアで、
サザエグラスと出会ったことが書かれていました。


使っていらっしゃる様子を、お写真で知らせてくださいました。

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まだまだ悲しみは続くと思いますが、楽しかった思い出を
偲ぶ品になって欲しいと思いました。

昨年に制作させていただいた、赤ちゃんのお位牌。

http://www.f-faro.com/IHAI33.html


鈴の彫刻とその姿が、とても可愛らしく、
他の天使ママたちから「あの形で!」と、
ご依頼を受けるほど可愛らしいお位牌でした。


ある日、電話が鳴り、

「以前そちらでガラスを頼んだことがあります。」

というご夫婦がお見えになりました。

苗字をうかがってすぐ、

(鈴ちゃんのパパとママじゃないかな?)

と、思いました。

恐る恐る伺うと、やっぱりそうでした。

今回は、仏具をご依頼に来て下さったのです。

ママは、ちゃんと原寸大でデザインを考えてきて
くださいました。
ですから、かなり具体的にお話をすることができました。

実際には、使い勝手を考えると、こういう形にした方が
いいですよとか、いろいろとご提案することができました。

その間中、私には気になっていることがありました

ママのバッグで揺れている

”お腹に赤ちゃんがいます”キーホルダー

鈴ちゃんの時の思い出につけているのかもしれないと、
聞くに聞けず、1時間以上経ってしまいました。

最後にやっとデザインが固まり、お帰りになる時、
体調を伺うと、ママはお腹に手を当てて

「鈴ちゃんがまたお腹に帰ってきてくれたんです。」

と、ほほ笑みました。


また、、、と思うと怖いんですけど、、、」


と、ちょっと暗い目をなさったので、何にも根拠がないけれど、

「絶対、元気に生まれてきます!大丈夫!!」

って、思わず口から言葉が飛び出ていました。

きっと大丈夫。大丈夫でないわけありません。


この間も、同じように赤ちゃんができたという報告に
みえた、天使ママにも同じこと伝えました。

http://fglass.i-ra.jp/e212295.html


本当に恐ろしくてたまらないと思います。
それを乗り越えようとする、天使ママたちに
私はたくさんの勇気をもらうのです。



そうして、嬉しい思いで制作した仏具です。




可愛いでしょう~

とっても愛らしくて、素敵です。




ちゃ~んと、鈴ちゃんのマーク、彫りました。

ママから、大喜びのメールを頂きました。
想像以上に可愛くできていたそうです。


きっときっと、元気な赤ちゃんが生まれてきますように。

楽しみに待っています。

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