『灯台もと暮らし 』西伊豆ガラス工房FARO徒然日記

2016年03月



15日の日。
ヤギーズがあっという間にこの世から消えた日から1ヶ月。
私はあれから初めてお墓に行きました。
牧草とお花とお線香を手向けました。
主人は行かないといいました。
だから一人で行きました。



静かな山の中です。
そばに、たくさんの犬小屋が点在していて、奥に猟友会の番小屋が
あります。

手を合わせたけど、足元に彼らがいるのはわかっているけど、
ここには居る気がしませんでした。


事故当日から、本当にたくさんのヤギーズへのお悔やみの言葉、
ありがとうございました。
こんなにも多くの方々が、ヤギーズを愛してくれたのだと
知って、嬉しく有難く思いました。

ヤギーズが亡くなってすぐ、岐阜の心の妹シモから、
思いがけずお悔やみの花が二つ届きました。

いつも笑顔の宅急便の方が、不幸があったのだろうかと、
ものすごい神妙な顔で、持ってこられました。




すぐに、ヤギ小屋へ飾りました。

カネジョウさんも、剪定した珍しい桜の枝と一緒に
干物を持ってきてくれました。
私は食事を作る気力がない時期だったので、本当に
助かりました。

cocoちゃんのパパとママも、大きなアレンジメントを
送ってくださいました。



すごいことなんですけど、このアレンジメントと、
シモからの花輪。
まだ咲き続けているんですよ。

あびさんからは果物。
横浜画廊さんからはお菓子が届きました。

多くの方々が、まるで人間へのお悔やみのような対応で
涙しながら怒りながら、励ましてくれました。

主人のバイト先の方も、Facebookで読んで泣いてくださって、
他の職員さんにも記事を勧めてくださって、傷ついた主人を
労ってくださいました。

「バイトに行ったら、みんなが話しかけてきてくれたんだけど?」

って、不思議がっていました。

職員の皆さんが通る道の横がヤギ小屋です。
主人がどれだけ可愛がっていたか、皆さん毎日見ていました。
犬や猫を飼っていらっしゃる方が多く、自分のことのように
悲しんでくださいました。

私の友人や知人も、、、、

本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

近所のウォーキングの方も、何人か

「ヤギ、殺されちゃったんだってね!
いつも人懐っこくてさ、楽しみに歩いてたのに、
いなくなって寂しい、、、。」

「この河川敷も草食べてくれて、俺らは草刈りしなくてよくてさ、
助かってたのにな、、、
可哀想なことだったね。
本当に辛いね。腹がたつよね!」

と、本気で怒ってくれて、ある方は

「(補償)どうなった?」

と気にかけてくれます。

補償、、、

一昨日、猟友会の会長が来られて、10万円を置いていきました。
ヤギーズとの8年間は金では補えないし、悔しさでいっぱいですが、
苦しみをもう終わりにしたいと思い、受け取りました。
あの人たちに何を言ったって、この苦しみはわかってもらえない
でしょうから。



訴訟は起こさない

この文書にハンを押せと言われた主人の気持ちを想うと
切ないです。

猟犬が悪い
ハンターが悪い

そんなこと、一言も言ってないのに、、、
訴えたりなんかしないのに、、、

ただ、秋ちゃんと時ちゃんが、無駄死にしたってことに
してほしくない。
二度と同じ事故は起こさないって、約束してほしい
それだけ、、、


ヤギーズが突然いなくなってから、私は毎晩夜中の発作のような
腹痛に七転八倒して、眠れなくなりました。

毎日、ヤギーズのウンチ拾いで時間が無い!と文句言ってた主人は、
もうすることが無くなって、翌日から放心状態でした。
お互い気づくと泣いてばかり。

玄関から外へ出ると、一番最初に目に入るのは
ヤギーズの小屋なので、毎回悔しくて涙が出ました。

ところが数日後、ふと小屋の向こうへ白いものが動くのを
確かに見ました。
時ちゃんのように見えて涙が出ました。
それからも時々見たので、主人に話してみました。

「、、、俺はいつも見てる、、、」

そう絞り出すように言って、外の方を向いてしまいました。

ヤギーズは、あの山の中ではなく、私たちのそばで
変わりなく駆け回っているのだとわかった瞬間でした。
嬉しかったです。

実は事故から1週間後、猟友会の会長と、もう一人が来て、
補償についてどうしたいか?と聞いてきました。

またヤギを飼いたいなら、探してくると、、、

私は、納得いきませんでした。

「再発防止策について伺いたいです。」

と聞いてみました。

すると、一緒に来ていたハンターが

「僕らの猟のやり方は、犬を放してやるんだから、
もう起こらないとは断言できないです。」

と、、、

会長が「私たちは、40年ここでやらせてもらってるけど、
こんな事故は一度もなかった。
あそこにヤギがいるなんて知らなかった。」

と、、、、

秋ちゃんは、以前も庭先で猟犬に噛まれて大怪我しました。
この言葉を聞いて、ああ、この人たちのチームの仕業
だったんだなって確信しました。

悔しくなって言ってやりました。
四方を柵で囲ったミカン畑で殺されたんです。

「ヤギを飼っても、また殺されるってことじゃないですか!」

二人は黙って帰っていったのでした。


この間、ふと主人が

「ヤギの寿命って何年くらいだったっけ?」

と聞くので、14年ぐらいって聞いた気がするけどなんで?と
聞いたら

「また、、、ヤギさん、、、飼いたいなぁと思って、、、
今から飼い始めて、俺、生きていられるかな?ってさ。
だって、70歳だぜ。」

うん、、、(ヤギーズとの生活は)楽しかったね!

と、言ったら、主人は「うん、、、」とやっと言って
泣いてしまいました。
私も泣きました。

10万円があります。
でも、お金で動物を買うのは気が進みません。
それに、血まみれになった愛する家族を見るのは、もう嫌です。

一方で、またあの人懐っこい笑顔を見たい。
温かい身体を抱きしめたいって強く思うのです。

私たちが可愛がっていたのではなく、私たちが愛され、
癒されていたのだと、失ってみて初めて知りました。

この間、袖を通したフリースに、白く硬い毛を見つけました。
最期に抱きしめた秋ちゃんの毛だと思い出し、涙が出ました。






サイレンと共に黙祷をしていたら、
ちょうど「郵便でーす」と入ってきた配達員さんに
ギョッとされました。

北はどこかな?と向いたのが黒板で、それに向かって
直立で二人してうつむいていたから、、、

子どもたちも、学校で黙祷したそうです。


今日は、長野のミモザさんのご主人から、

「お花届きました。ありがとうございます。」
と、電話がありました。

ミモザさんが最期にFAROを訪れたのは、震災直後でした。


http://faroglass.blog.jp/archives/1467295.html

彼女が好きでいてくれて、何度も差し上げた庭のミモザの木を、
今年も8日のミモザの日に切って宅急便で送ったのでした。

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ミモザはあれからどんどん大きくなって、
梯子に登ってもまだ足らないくらい成長しました。

時ちゃんにいつも食われて腹が立ったけど、それも
いい思い出です。

毎年来てくれる彼女の息子さんたちも、
会うたびにスクスク成長していて嬉しいです。

天災、病気、事故、、、
愛する人との別れには、様々な理由がありますが、
遺された私たちは彼らの分も楽しみ、悲しみ、喜び、怒りながら、
日々精一杯生きなければいけないなとあれから強く思います。

私は今日も、精一杯生きました。

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工場長もヤギーズを悼んで、小屋の方を眺めているのでしょうか?
寂しそうに、ヤギ小屋のあたりをウロウロしている時があります。



昨年10月にメールで、夕陽グラスのサイズ変更を依頼されていました。

「最愛の妻をガンで失いました。

霊前に供えるグラスを探していたところ、
妻の好きそうな色のグラスを見つけました。
しかし、霊前には大きすぎるので、一回り
小さく作っていただけないでしょうか。」

と、メールに書かれていました。


「妻はカトリック、私は神道で
両方とも故人にはお供えはしません。

でも私なりに出来ることがあればと思い
毎日のお供えを欠かさずやっております。

本当は生きている時にあれもこれも
もっと色んなことをしてあげたかった。
そう思う毎日で、、、

たぶん残りの人生ずっとそうなのでしょう。
でも、やれることはやってあげたいのです。」


愛する家族を失った時、思うことは皆同じですね。
ああしてあげれば、こうしてあげたらよかったと
後悔ばかりです。

毎日そんな風に、ご自分を責めていらっしゃると
思うと切ないです。


1月に再開後、ガラスの状態が良くなるまで待って、
いよいよ着手したのですが、一回り小さいサイズだと
高さが8センチほどになり、まだ大きい気がします。

もう一度トライして、7センチの高さにしました。





これならいいかなと、メールでお知らせして、
了解いただき、長崎五島列島へお送りいたしました。


一昨日、届いたとメールで知らせてくださいました。
サイズもぴったりで、可愛らしく気に入られたと、、、

毎日、天国の奥様へ愛を届けるグラスになりました。

今日から3月です。

昨日、黄金崎クリスタルパークさんへ、
西伊豆暦風鈴を納品しました。

西伊豆元気製作所の会議で、今年から新たに
展開を始めたかも風鈴の進化形です。

かも風鈴についてはこちら↓
http://www.kuripa.co.jp/shop/shop-kamofuurin.htm


1〜2月はGGGさんの担当で、
1月は鏡餅。
2月は、鬼の頭の上から豆がばらまかれているという
風鈴でしたが、この鬼の風鈴、最高に楽しい!

火も入ったので、いよいよ3月は私が担当しました。

お題はみんなで決めますが、デザインは担当工房に
丸投げ
です。

3月は「桃の節句」というお題。


1ヶ月ほど悩んでいましたが、和菓子のようなもの
イメージしながら練って行きました。




ステンドグラス、バーナーワーク、吹きガラス、、、と
3種類の技法を駆使して、吉祥結びも付けました。

菱餅の下に、桃の花。
その下に、パステル調のお雛様。
ちゃんと鳴る部分は、笏と扇にしてあるんですよ。

あ、夫婦仲が悪いらしく、
なかなか向きが揃いません、、、、( ̄(工) ̄)

ぜひ、実物の音色も楽しみにお出かけください。



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