今日は、7年ぶりにお客様がお見えになりました。
位牌の相談に見えたのが初めでした。

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今年のお正月に、ファックスが届きました。
クリスマスイブに、とうとう天国へ旅立ったと書かれていました。

長かったなあ、、、
頑張ったんだなぁと、文面を読みながら7年前を思い出しました。

お嬢さんは9歳のある日、よくある熱を出した3日後に植物状態に
なってしまい、以来ずっと機械に繋がれたまま、
今は12歳だとあの日おっしゃっていました。

いつか、お別れの日が来るだろうから、今からいろいろ準備をしていて、
その時にはお位牌は私に相談したいとおっしゃっていました。

あれから7年。
12歳だったお嬢さんは、今月末で19歳を迎えるところでした。

元気だった9年と、意志疎通ができなくなってからの9年、、、

最後の9年間、ご本人もご家族も本当に頑張ってきただろうな、
そしてもう頑張らなくていいんだなという気持ちでした。

『いきなりじゃ可哀想だから、ゆっくりさよならを言ってくれて
いるんだと思えるんです。(^-^)』

7年前にママが私に言った言葉が、印象的でした。

あの時、依頼されたデザインは、羽根のついたかわいらしいものでしたが、
今回新たに提案されたデザインは、全く違うものでした。
きっと、お嬢さんが大人になって、かわいらしいというのとは
違ってきたからでしょう。

ピンク色が好きだったそうです。
だから、ピンクの月。
そして、ピンクの波をイメージしたものでした。

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色合いのご相談や、月が歪むかもしれないという問題などを
話し合って、製作しました。

そのお位牌が出来たとご連絡したら、当初希望されていた

『遺灰を入れたペンダント』

を、やはり作りたい、可能ならば自分で作りたい。

とおっしゃいました。

今日はお位牌を引き取りに来ていただいたのと同時に、
そのペンダントを製作する日でした。

大切に持っていらっしゃった遺灰。
それをどうやってガラスに封じ込めるか、またデザインは
どんなふうにするかと、しばらく話し合って、バーナーを
使って頂きながら、ぶっつけ本番で制作していただきました。

私もお手伝いしましたが、かなりの部分を、お母様が
携わる作品になりました。

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ご覧になっていたお父様が、自分も小さいものを作りたいと
おっしゃって、今度は小さな角のような貝のようなガラスを
作りました。

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やはりこちらにも、遺灰を入れました。

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ペンダントには、黒い革ひもを選ばれて、そのまま身につけて
お帰りになりました。

以前、お坊さんに

『仏教でもキリスト教でも、塵になって大地に還るのが成仏。
ガラスに遺灰を入れこんでしまうなんてもってのほか!』

と言われ、今回のお母様にも何度もお話しましたが、
やはり遺灰をいつも身につけていたいとの強い希望がありました。

愛する人を悼む形は、人それぞれ、自由でいいのだと思いました。