223ぐいのみ

数年前に作ってから、なぜか?数えるほどしか売れませんでした。
個人的には気に入っていたのですが、反応薄くて、、、笑


2週間前、「このぐい飲みを売ってもらえますか?」とメールがありました。

前から気になっていたけど、ご主人が亡くなって家計が苦しく、
購入を躊躇されていたそうです。

私は、あんまり売れないので、ここ数年作っていないことと、
現在窯が壊れて制作できないことをお伝えしました。

在庫を探してあったらお譲りできますとお返事して、在庫を
探してみました。

そしたら、まだ彫刻していない原型があったので、急ぎ仕上げ、
お客様に画像を送って選んでいただきました。

週末、選んでいただいたぐい飲みをお送りしたのですが、
「とってもかわいい!」とメールをいただきました。

続けて、富士山への思いを書き綴ってありました。


昔、ご主人の借金が原因の生活苦で、死に場所を求めて
大好きな富士山へ向かったことがあったそうです。

「でも、雪の冠を被った富士山を一周してみて、
こんなにも見る場所によって形が違う事をを知り、
私の心は震えました。
そこで見ていると、あまりの偉大な富士山の前で、
まるで時間が止まったかのように、
音もほとんどなく、「無」があるのです。
心から愛してしまいました。

今では毎回一周して、それぞれの雪の形に惚れ、
写真に撮り眺めて幸せを感じています。

でもそれに気づく事がなかったら・・・。

その主人が亡くなってからは、気力がなくなり、
残念な事に行く事が出来ません。」


ああ、
行くことができない代わりに、手元に富士山を置いておきたかったのだなと。


すでに、三保ノ松原はたくさんの観光客でごった返しているのを
ニュースで見ました。

ぐい飲みをお求めくださったお客様の他にもたくさんの方が、
富士山を様々な想いで大切に思っていらっしゃるでしょう。

昔は、禊をしてからでないと入山できなかったと、昨日ラジオでも
言っていました。

霊峯富士、、、

今回の世界文化遺産登録で、踏み荒らされることがないように、
今まで以上に大切に敬われるように、私も切に願います。