さて、新築祝いのガラスセット。
青や緑系の色ガラス制作は順調でしたが、いざ黄色とオレンジの色ガラスになると問題発生。
黒点が出るわ出るわ。
この系統の色は、ちょっとでも金属の道具で触れると化学変化で黒くなってしまうのです。
鮮やかな色だから、サビのような点はとても目立ちます。
1度も触らないよう細心の注意を払っても入る。
理由は、そもそも色ガラスに金属などが混ざってる。
それと、FAROの焼戻しの窯の灯油バーナーの回転体にカーボンが着きやすく、それが炎と一緒に炉内に撒き散らされ、炙っているガラスに、そのカーボンが飛んで付着するのではないかと。
錆やカーボンは、見た目ではほとんど見えない微細なものですが、次にガラスを巻いて被せると化学変化を起こして黒くなり、吹き延ばされ大きくなります。
これ見つけた瞬間一気にやる気そげ、それが連続するともう途中で捨てます。
だって、続けても意味ないんですもん。
とはいえ、ワタクシ海千山千の古参ブロワーですから、投げ出すことはしません。
大声で一発叫んで、何事も無かったかのようにもう一度トライします。
あんまりできないので、1度お客様にご相談したら、特に気になさらないとおっしゃってくださったのですが、やはり私自身が気になってしまう。
受け取るのはこのような事情を全く知らない方々です。
しかもお祝いです。
(なんだ、こんなものを贈ってきた)
と、ご依頼主様への印象も悪くなるかもしれません。
だからここは我慢。
ガラス工房も弓道場も、精神修養の場です。
手持ちの色ガラスで、あれこれ実験して他の色を組みあわせてオレンジがやっと完成。
やれやれと全色並べると、
あれ?この青いガラス、なんだかツブツブすぎてキショい。
このグリーン、黄緑が面積狭すぎてツートーンになってない、、、
などなど、気に入らずに作り直したりして、ほんと何個作ったかしら?てな具合で全色完成。
でも終わりではありません。
底にゴロがあったり、斜めのものが多いので、研磨が必須。
平盤で平らに削り、飛び出たりえぐれたりしていたらダイヤで上げ底に削ります。
削れてザラザラになった面を、砂の番手を上げて何度も磨いていきます。
まだすりガラス状態なので、磨き粉をつけて木盤で磨き、仕上げにセリウム粉をつけてフェルトで磨くと、やっとピカピカになります。
結果、磨き粉まみれになります(笑)
研磨は吹きガラスでグラス吹く時間の何倍も時間がかかりますし、機械はどれも高速回転するので、気を抜くとうっかり吹っ飛んで落ちて割れます。
溶解炉を止めた後なので、壊れたらオーダー自体キャンセルになってしまう為、本当に最後の最後まで気を抜けませんでした。
無事にお送りできて、本当に良かったです。
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