『灯台もと暮らし 』西伊豆ガラス工房FARO徒然日記

2016年11月

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まだどう仕上げればいいのか、心の中で固まってないのに手を動かしてる、、、

西伊豆暦風鈴、最後の月である12月のお題。

『年の瀬』

明日が納期、、、

いつもハッパかけてくれてた、猫工場長がもういない、、、(╥_╥)


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弓の稽古に行きました。
先生が、「ちょっとこれ、引いてみて!」と、恐れ多くもとんでもなく
高価であろう弓を引かせてくださいました。

離れの瞬間、フッと力が抜けて、弦が切れたことに気づきました。
しかも、矢は的に中りました。

先生の大事な弓を壊したのではないか!と、頭真っ白になって
振り返った私に、先生と先輩が笑いながら、

『おめでとう!』と言いました。

『弦が真ん中から切れて、的に矢が中るなんて縁起がいいのよ!』

だから、切れた弦を持ち帰りなさいと。

私は思わず

「うちに帰ったら、猫が戻ってきてるかな、、、」

とつぶやいたのでした、、、



その4日前、、、11月17日。

その日、猫工場長は河川敷の方へ歩いていました。
暖かく良いお天気でした。
私はカメラを持って、追いかけました。


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いつも通りの場所で立ち止まり、いろんな気配を探っていました。
彼女は耳がほとんど聞こえません。
でも、何かの気配はわかるようです。


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私はいっぱい写真を撮りました。

これが最後になるなんて、この時は露ほども思いませんでした。

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彼女はそのまま、山の方へ遊びに行きました。
山ガールなんです。

この6年間、平気で野山を駆け回っていました。

雨の日に、突然やってきて、飼ってくれと言ったのでした。

http://fglass.i-ra.jp/e896325.html


その半年後、カンジが亡くなりました。

http://fglass.i-ra.jp/e896352.html

自分が居なくなったら、皆がさびしがるだろうからって、
工場長を連れて来たのかもねって言ったのでした。


思えば、能登島で働き始めた25年前、ヨモギを拾ってから

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私と主人の間には、ずっと猫がいました。
ヨモギを拾って2年後に、主人がカンジを拾ったのです。

2匹を連れて西伊豆へ来ましたが、借家からここへ引っ越す時、
ヨモギは姿を消しました。

17日の明け方、外で猫の騒ぐ声が聞こえたと次男が言っていました。
もしかしたら、喧嘩して深手を負ったのか、、、
あまりに興奮して記憶が飛んで、うちが分からなくなってしまったのか、、、

いや、、、
猫工場長は、仕事を再開した私達の為に、全国に営業に回っているんだ。
元気にあちこち歩き回っているはず。

そう思っています。

だって、そう思わないと、今年は全ての白い家族を失ったことになります。

ウコッケイも、ヤギーズもみんないなくなってしまいました。
そこへ工場長が居なくなるなんて、耐えられません。

だから、いつかフラッと帰ってくるって、私達は思うことにしました。

皆さんのところにも、立ち寄るかもしれませんね。
見かけたら、私達が待っていること、知らせてください。








9月の浜名湖クラフトフェアで、御贔屓のマリさんがお越しになって
袋を手渡したのでした。

開けると、初めてFAROへお越しになった時のものだという
吹きガラス体験で作られたグラスが粉々に、、、

どんな形でもいいから、どうしてももう一度何か形にしてほしい

そうおっしゃいました。

帰宅してしばらくすると、知らない方からの荷物が。

開けると、こちらもやはり体験で作ったはずのグラスが粉々。

夏に来て下さったやはり御贔屓の方のお姉さまでした。
小学生の娘さんがグラスを吹いて行かれたのですが、
すぐにうっかり割ってしまったそうです。

彼女は悲しがってひどく泣き続けて、お母様が困って電話を
くださったと、後で主人が話してくれました。

どんな形でもいいから、何か別のものにしてほしい、、、


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さて、どうしましょう、、、

とりあえず、適当な大きさにカットしました。


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いつもお越しくださる方には、サービスで日付と名前を彫っています。

これは溶かすと消えてしまうので、どちらのグラスの日付も、
控えておきました。

大切な日付です。


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800度近くで焼いて、さらに1辺1辺バリを取る作業をします。


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パッとしないガラス片は、袋に詰めて、お好きなことに使えるように、、、


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マリさんの方は、綺麗だと思うガラスを2つ抽出して、まず白いガラスを合わせて電気炉で溶着し、裏側が透けないようにしました。
それを更にドロップ型と三角に削って、もう一度電気炉で焼きました。

なので、3度焼いています。

なぜ2つ作ったかって?

おしゃれな小さな娘さんが欲しい!って泣いたら困るな~って。笑

アクセサリーにするつもりで、アイテムを尋ねたら、好きなアイテムに
するから何も金具をつけなくて大丈夫ですってことでしたので、
このままにしました。


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忘れないように、側面に小さく小さく日付と名前を彫り込みました。

ちゃんとマリさん、気付いてくれましたよ!


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小学生の女の子には、ヘアゴムがいいかな~って。

三日月型に削りました。


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こちらも、忘れずに日付と名前を、、、


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無事届いたかな~気に入ってくれたかな~って思っていたら、
小さな荷物が届きました。

手紙も2通、付いています。


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開けたら、お母様手作りのロールケーキ!

請求書を送ってほしいということと、お二人がとっても喜んでいるということが
お手紙で分かって、とてもうれしかったです。

どちらも、御贔屓さんなのでお代はいただきませんでした。

FAROで作ったグラスが大切な思い出だという、強い想いだけで
私はとっても嬉しかったのです。



溶解炉が1400度まで熱上げできたので、
原料を投入しました。

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温度管理もそうですが、原料の入れ方や量も、
坩堝を割る原因になるので、
特に気をつけないといけない場面です。

これからまた数日かかりますが、綺麗なガラスにしていきます。

日曜、月曜は弓道関係で留守なので、火曜日当たりから再開でしょう。

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