『灯台もと暮らし 』西伊豆ガラス工房FARO徒然日記

2014年06月

昨日仕事中、オープンカーが入ってきました。

若いカップルでした。
ガラスを買いたいとおっしゃって、夕陽とモザイクグラスのB品を買ってくださいました。

ここでは体験で、そうめん食べる器も作ることができるか?

と聞かれたので、できますよ。今日吹いていかれますか?

と返事をしたら、『また後日来ます。(^-^)』と。

そろそろメンテナンスで火を消しますし、私達の工房は、燃料費が払えなくなったら、すぐ長期休業に入ります。
後日いらっしゃっても、やってないかもしれません。

と、脅し文句のようですが、本当の事情をお話しました。

だって二人共、短気で一本気ですから、ダメだ!となったら即行動するからです。(笑)


お客様、ビビったのでしょうか?(笑)『じゃあ今からお願いします』とおっしゃいました。

そうして、楽しそうに作って帰られました。

窯から出てきた器は、とても爽やかです。

自分で吹いた器で食べるそうめんは、格別でしょうね!(^-^)

昨日の夕方、仕事を終え汗だくの私が、やれやれと椅子に座った途端、

「こんにちはー!」

と、来客。

またやれやれと向かった玄関先に、
花束を持った見慣れた顔の女性がニコニコ立っていました。

キリスト教の布教に、毎月訪れる方です。

私は、自分や家族になにかあったら輸血してもらいたいし、
趣味は弓道ですのでキリスト教よりは神道に興味があります。

しかし彼女も、彼女の前任者の若い女性も、
ぜひ教会へ来て!などと言わないし、世間話からごく自然に
聖書の話をする感じが嫌味でないので、
お話だけは、時間があればうかがいます。

私の母よりも少し若い感じで、この宗派の方に有りがちな
地味な服装ではなく、いつもオシャレで、化粧もされて、
性格は明るくチャキチャキとした方です。

私達のガラスを気に入って、時々買ってくださったり、
お家で採れた野菜や卵、最近はお菓子を持って来てくださるので、
私も何かお返ししたりというような関係が5年ほど続いています。

その彼女が、なぜか花束を持って立っています。


「この間寄らせていただいたとき、いつも笑顔のあなたが涙を
こぼされたから、ずっと気になっていて、今日下田に行ったついでに、
美味しいお菓子でもと思って、それからお花でも、、、って。」


私の目から涙がドバっと出てしまい、彼女は慌てていましたが、
続けて

「神はね、私達を喜ばせる為に、地上の全てをお造りになられたと、
聖書に書かれているんですよ。

お花も、私達の為に咲いてくれるんです。
それは、素晴らしい神からの贈り物だと思わない?(^-^)」

植物学者が聞けば、種を残すため、、、と言うでしょうが、
今の私には、彼女の言葉の方が心に響きます。

先月、彼女が話した聖書の一節を聞いているとき、ちょうど
絶望の中にいた私は、思わず泣いてしまったのでした。

「あなたにまた笑顔になってもらいたくて、、、
私は、いつもあなたの笑顔を楽しみに来ているの。(^-^)」




『ほんの一、二輪くらいのつもりだったのに、
立派な花束になってしまって、かえってごめんなさいねぇ、、、』

お菓子まではいただけないとお断りしたのですが、押し切られて
受け取りました。
彼女は、ただプレゼントを渡して帰っていきました。

何度も書きますが、私は彼女の信じる神をこれからも信じることはありません。

しかし、私のことを思ってくれる人を遣わせてくれたことは、
彼女の神に感謝したいと思います。

この春は、残念だけど諦めることがいくつかありました。
そのひとつに、稲作があります。




4月27日、主人と次男と播種機で籾を蒔きました。
今年も、昨年同様、青々とした苗ができると思っていました。


しかし、待てど暮らせど芽が伸びませんでした。
出ても、本当に数えるくらい、、、

寒すぎたんだろう。
と、師匠が言うので、昼夜暖かい工房に置くことに。




本来なら、溢れるほどの緑の苗で覆われていなければなりません。

師匠が毎日見に来てくれて、栄養剤などを撒いてくれたり、
手を尽くしてくれましたが、変化は見られませんでした。

籾を消毒するためにお湯に浸けるのですが、熱すぎて煮えて
しまったのかもなと今になって思い返したりします。

この春は、ちょっと問題が起こり、先行きが不透明になって、
果してたんぼに全力投球できるか不安でした。
そんなあやふやな気持ちで始めたからでしょうか?
苗の方から「お断りだよ!」って、辞めたのかもなんて、思ったり、、、


できた苗を買ってくるという選択肢や、再度籾から苗を育てるという
選択肢もあったのですが、先の不安材料が心をよぎり、師匠には
諦めたいと伝えました。


地主さんにも、やり直せっていわれたけど、諦める旨伝えました。

そうか、、、

と無理強いせず、去年から言ってくれていた、精米機をくれました。

「米はもうないから、使わないしな。
おらぁ、もうたんぼやんないからさ!」




12年前の精米機でしたが、コンパクトでまだまだ綺麗なものでした。
今まで、隣町のコイン精米所まで運んでいたので、お金も手間も
かかりましたから、とても嬉しい機械です。


使い方も、教えてくれました。




真っ白なお米がサラサラと出てきました。

私たちは、まだ100キロくらい貯えがあるので、そのまま20キロほどの
白米にして、配達しました。

また、無くなったら持ってきますね!と言ったら

「ダメだ!こんなたくさん。
あんたちは、今年は米が採れないだから、これは食べるに取っとかないと!」

と、言ってくれました。

「これじゃあ悪ぃから、、、」

と、たくさんのジャガ芋と、玉ねぎをまた持ってきてくれました。(・_;)


この間、主人がたんぼの草刈りに行ったら、近所の女性が、

今年はたんぼやらないのか?

と、聞いてきたそうです。

事情を話したら、楽しみに応援していたのに残念、、、と言ったそうです。


近所の御隠居さんも、たんぼどうした?と気にして訪ねてくれました。

近所で稲作をしているおじさんも、

「オイ!お前っち、たんぼ止したって言うじゃん!
何でオレに言わないだぁ?
どうにでもやりようがあったのに、、、」

と、心配して怒鳴り込んで来ました。(笑)


「そうか、、、まあ、仕方ない。来年は、オラと一緒にやろうじゃ!
何でも教えてやるからさぁ。遠慮しないでさぁ!」


私の愛するこの土地は、そんな人達が暮らしています。

赤とオレンジで板ガラスを吹き、青と紫でも板ガラスを吹いて、電気炉でおのおの平らに溶かす。

赤い板の方をサンドブラストして、下の白い素地を出し、段差が無くなるように二回目の加熱。

と同時に、黄色い丸い板ガラスを吹いておいたものを、平らに溶かす。

赤い板ガラスの丸く彫った部分に、半分に切った黄色い板ガラスを乗せ、下の半分には、青い板ガラスを乗せ三度目の加熱で、一枚板に溶着。

さて、何を作っているでしょうか?(^-^)

一昨日の朝、電話が鳴りました。

役場からでした。

テレビの取材で、かも風鈴を取り上げる関係で、制作風景が欲しいらしいから、FAROさんで対応してくれないか?ということでした。

テレビの取材って、どこもこんなふうにいきなりやって来ます、、、(-ω-)
自分達の取材は、面倒くさいので断りますが、町の宣伝になる取材は、可能な限り引き受けます。


ということで、午後取材クルーがやって来て、撮影していきました。

一番オススメの風鈴は?

と聞かれたので、デザインよりも、溶けたガラスが冷めていく過程で変化する色の風鈴の方が、ビジュアル的に良いと思って、青い風鈴を提案しました。

今年の新作『世界遺産』です。(^-^)

青いガラス粉を溶着させて、加熱すると赤く焼け、瞬時に青く冷めていきます。

しかし、前回作った後の出来事のショックで、あの時どうやって作ったか、私の記憶から欠落していることに気付き、焦りながら思い出しながら、何とか富士山を吹きました。(T_T)

2つ吹きましたが、もうめちゃくちゃ、、、( ;∀;)

それでも大丈夫!(^-^)
と、帰って行かれました。

私は数秒しか写らないと思いますが、二週に渡ってかも風鈴だけでなく、西伊豆町の紹介番組になるそうなので、私たちの暮らす町をぜひご覧くださいね!

NHK『鶴瓶の家族に乾杯』
7月28日20時から
8月4日20時から


ポスターを貼ってください。
と、おいていかれました。

軍師黒田官兵衛ハンカチは、(どーしよう、、、)って感じですが(笑)、どーもくんタオルは嬉しい粗品でした。(≧▼≦)

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